ベルリンからモスクワに向かう記

北東アジア総合研究所長  川西重忠

秋の深まりを感じさせる頃となりました。

さて、9月末に約半年間のベルリン自由大学での在外研究を終え、ロシア入国処理のため一時帰国をしていましたが、このたび無事に次の研究赴任先のモスクワに到着しました。

モスクワの寒さはまだそれほどではないものの朝晩の風は身を切る冷たさで、早速、地下鉄駅前のスーパーで厚手の外套とロシア帽を購入しました。まもなく到来する厳しい冬将軍への備えです。備えあれば憂えなしです。

ベルリンに比べ万事に物価高ですが、すし屋も多く(殆ど韓国人がやっている)慣れれば住みやすい良い街です。交通は地下鉄が発達し1分ごとに轟音をあげてすごいスピードでホームに入ってくるのは壮観でびっくりします。「モスクワの住居は何よりも地下鉄に近いところにしろ」とアドバイスしてくれたベルリンの友人の言うとおりです。車は渋滞がひどくあまり役に立たない。

 宿舎は地下鉄ベルナールド駅から歩いて約10分の高層ビルの16階で便利な立地です。近くに有名なモスクワ大学があります。昨日は大学正門まで歩き、下から見上げその246メートルのスターリン形式の代表建築の威容に圧倒されました。コネと汚職天国のロシアでもここだけはコネが効かないといわれるロシアが誇る最難関の最高学府です。

 ロシアでの私の研究テーマは「ロシアから見た北東アジア地域の政治・経済動向 −主としてエネルギー問題の視点から」及び「日露関係の将来展望」の2つです。大きなテーマですが、ロシア語の学習と併せ、この半年間鋭意取り組んでまいります。

  クレムリンなどのモスクワ観光は後回しにして、今は必要最小限の手続き処理とモスクワの空気に慣れるための近辺の散歩以外はロシア関連図書を部屋とカフェで読むのが日課です。

 モスクワへの出発直前に北東アジア総研の臨時役員会と報告会が開催されました。

 急の案内であったにもかかわらず開始前から定員を超える参加者が次々と押しかけ、補助席を出す予想外の事態に事務局は驚きあわて且つ喜びと嬉しさこもごもの会でした。






   

報告会は、私川西の半年間のドイツ体験をメーン報告として「報告テーマ いま日本がドイツから学ぶこと」、コメントはベルリン自由大学の教え子のアンネマリー(現在慶応大学留学中)による東北被害地のドイツ学生ボランテイア支援活動報告、村田光平氏(元スイス大使)の脱原発の理念と現状報告、谷口誠先生(北東アジア総研特別顧問、元国連大使)の日本を取り巻く国際外交問題を中心とした総括報告と続き、最後は当研究所役員の西原春夫先生(アジア平和貢献センター理事長)の恒例の御挨拶で閉会となりました。この会のためだけに大阪からわざわざお見えの方がオーケイ化成の花谷社長他3名いましたが、日帰りで帰られた大森経徳氏からは翌朝早速「素晴らしい会であった、皆さんの報告はいずれも素晴らしかった、行ってよかった」と望外の電話を戴きました。

当日の報告の詳しい内容につきましては後ほど文章にしてご紹介させていただきます。

1126日開催の国際フォーラムもよろしくお願いします。(モスコーにて 川西記)